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薄桜鬼 群青桜

第16章 来訪者


御陵衛士が結成されて間も無くのある日の夕刻。
屯所を訪ねる4つの影があった。
その意外な組み合わせに驚く私と、警戒心剥き出しの幹部達。

無理もない。その面子の中には実際に刀を交えた事のある颯太の姿もあったのだから。

しかし今日の目的はいつもとは違うと他の雰囲気から察して取れる。
颯太、千姫、君菊さん、そして見知らぬ鬼の少女。

話をする為に訪ねてきたのだという。
鬼や私の事、そして今後について。

「このお方は古き鬼の血筋、鈴鹿御前の直系に当られる千姫様。そしてこちらはこの日の本の東に住む鬼達を束ねる雪村家の当主、千鶴様。今は訳あって姫様と行動を共にしております。」

雪村…そうか。以前出会った南雲薫の言っていた妹とはこの子の事だったのか。

「俺は風間さんから隠れて暮らす他の鬼の事を色々教えてもらってさ、鬼の一族から見た人間の動きとか、帰る為の手掛かりとかを探ってたんだ。

千姫とかその子とは調べを進める最中に存在を知って、色々協力して貰ってたんだ。」

4人が共に行動している事情は、大まかな説明で理解できた。

この場には山南さんを加えた変若水の存在を知る幹部達が勢揃いしている。

「桜時君が鬼…これで私が狂気から逃れられた理由がはっきりしました。」

私が鬼だという事も山南さんに知られてしまった。

でも今夜手に入れられる有益な情報と引き換えにするには随分と安い代償だった。
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