第15章 暗躍
次の日の昼頃、偶然にも平助と非番の日が重なり、少し話をしていた。
そして一番最初に聞かれた事は、なぜ新選組を抜けたのか、という事だった。
「最初に言っただろう。私はあくまで元の場所へ帰る事を優先すると。それが新選組に敵対する事だとしてもな。」
そんな当たり障りのない、新選組をどうとも思っていないような返答に、平助は少し驚いたような、でも悲しげな表情をこちらに向ける。
「新選組に恩を返すんじゃなかったのかよ。あの時、伊東さんに接待された時に言ってた事は全部その場凌ぎの言い訳でしかなかったのかよ。」
的確に私の盲点を指摘する平助。
少しだけ怒り混じりのその言葉に、いつもの私なら何も言い返すことなどできない。
でも
「例え恩ある組織だとしても、それを理由に本来の目的を忘れる訳にはいかない。」
大切なものは、大切な人は必ず守る。
この手で。
たとえそれが原因で一時的に仲違いすることとなっても。