第15章 暗躍
事の始まりは昨晩、寝静まって少し経ってからの出来事だった。
私の部屋に訪問者。
白髪に赤目の厄介な相手だった。
本能で危険を察した私はすぐ様起き上がり刀に手を掛けた…はずだった。
しかし発作のせいか、手に取るほんの一瞬、鼓動が大きく揺れる。目が霞み、頭が重く、体が硬直して動かなかった。
思うように動かない体を無理やり引きずって怪しく輝く刃を避けて這えずりまわる。
壁際に追いやられ、右腕に刃が通る。
真っ直ぐに伸びる傷口は熱い痛みを帯びていて、夢ではなく現実だと思い知らされた。
血の纏わり付いた刀を舌で舐めとる羅刹。
そしてその羅刹の叫びを聞き駆けつけた幹部達。
夢中で血を舐めとる羅刹の心臓を一突き。
これで問題は解決…となればよかったのだが。