第14章 覚悟
平助「え、ちょっと待てよ!ってことはお前、颯太と兄妹なのか⁉︎」
千月「正確には義理だけどな。父親が違うんだ。しかし母亡き今、私と颯太を繋ぐものは何もない。」
一通り話を終えると同時に冷めた茶を口に含むと一息つく。
千月「まあ、そんな母から頼られたからこそ自分の大切なものは自分で守る。そう自然に考えるようになっていたんだ。」
平助「へぇ。お前も苦労してたんだな。」
千月「苦労という程のものでは無かった。私は鬼で、敵は人間。別に苦戦をしいることも無かったし、颯太自身もそう危険な状態になる事は無かった。ただ、人を殺す時の感覚だけはまだどうしても慣れないんだ。」
相手の過去も今もそして未来も一瞬にして奪う。それが人を殺すというものだ。
痛々しい悲鳴が嫌いだった。
止め処なく流れる血が嫌いだった。
それでも
目の前の敵を葬らなければ私が、そして颯太が殺される。
千月「失敗の許されない中で私情を挟む事は出来ない。私も颯太も命がかかっているんだ。迷っている暇なんて与えられなかった。」
平助「じゃあお前本当は刀すら握りたくないんじゃないのか?」
千月「いや、誰かを守る為ならば私はいくらでも刀を構える。目の前の敵を斬り伏せる事が颯太を守るという母からの命を遂行している事になるんだ。」
たとえ自分の考えにそぐわぬ事でも母の命は必ず受ける。
千月「私は自分を殺して敵に刃を突き付ける事しか出来ない。」
殺したくないのに殺さなければならない。
2つの相対する感情が脳内でぶつかり合う中で私はまた一つ覚悟を決めなければならないのだ。
ここが、過去ではない事を。