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薄桜鬼 群青桜

第13章 隠密


やはり着替えてからでないと外には出られなかったか。
薄々気づいてはいたけれど、今からでは遅い気もする。
番頭にしっかり顔を認識されただろうから、いくら化粧を落とそうが男装しようが、看破される可能性は高い。

土方「何言ってやがんだ!」

番頭「い、いや、そやから…」

土方さんは面倒くさいと言葉を漏らすと、いつもの鬼の様な強面で言い放った。

土方「てめぇ、俺を誰だと思ってやがんだ!新選組の副長が芸妓と駆け落ちなんてせこい真似するはずねぇだろうが!」

番頭「し、新選組⁉︎」

土方「この女、訳あって俺が預かる。文句があるならいつでも屯所まで来やがれ!」

流石にそこまで言われては番頭も怯えて反論できず、私達は島原の外に出た。

そして追っ手を気にしながら少し駆け足で屯所へ帰還。
慣れない下駄のせいで疲れはしたものの、とにかく外へ出られてよかったと安堵する。

沖田「へぇ。ご馳走様でした。」

土方「ちょっと待て総司、勘違いすんなよ。…あの野郎…。」

沖田の言葉の意味は正直理解出来なかったがとりあえず今回の屯所襲撃は回避する事が出来た。
まさか初日で解決できるとは誰も予想していなかっただろうけどな。


そして今回の一件を経て、土方さんは島原の芸妓と駆け落ちしたなどという噂が広まった。
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