第13章 隠密
斎藤「桜時、あんたに伝えなければならない事がある。聞いてくれるな?」
先ほどの敵は起き上がり、さらに怒りを増した状態で斎藤さんの背後に。
千月「話は事が片付いたら聞く。だから今は…」
客「てめぇ、よくもやりやがったな…!」
客は顔を殴られまだふらふらしていたものの、斎藤さんの肩を掴んで反撃を試みようとした。
しかし、斎藤さんは至って冷静で、今度は肘で腹部に一撃を与えていた。
斎藤「すまない。あんたのその姿を今宵で見納めと思うと、どうも緊張してしまって。」
そして、騒ぎを聞きつけた浪士たちが続々と集まって来た。
千月「斎藤さん、浪士が集まってきた。今は奴らの殲滅を。」
斎藤「…何?これはどういう事だ。」
ようやく後ろの浪士達と向き合う斎藤さん。
ここまで来るのに私はどれほど説得していたのだろうな。
客「て、てめぇ、一度ならず二度までも…」
斎藤「何だ貴様達は。我々は今取り込み中だ。話なら後にしてもらおう。」
そしてまた私の方へ向き直る。
まだ何か言おうとしているようだが、
浪士「なんだと貴様!」
浪士「愚弄しよって!」
浪士達がそれを許さない。許すはずがない。
斎藤「俺は大切な話を邪魔され、著しく気分を害している。手加減は出来ぬが。」
そして斎藤さんはその言葉一つに静かな苛立ちを含ませてようやく浪士達と相見える事になる。
この後、刀を抜いた浪士数名を相手に、斎藤さんは引けを取ることなく相手をしていた。