第13章 隠密
千月「山崎さん、これ以上騒ぎが大きくなると厄介だ。私が自分でなんとかする。だから早く隠れて
山崎「何をおっしゃるのです、お嬢様。この山崎がお嬢様を見捨てて逃げる事など出来ません。」
千月「そんなことを言っている場合では
浪士「イヒヒヒヒ…。ここにおったか。さあこっちへ来い。茶番は終わりだぁ。イッヒヒヒヒ…。」
山崎「山崎流。忍法、畳返し!」
今相手にした浪士はこれで事なきを得たが、角屋に忍者が潜伏していると、騒ぎが大きくなっていた。
この後私は山崎さんと別れ、騒ぎが落ち着くまで他の客からの情報収集をしようと思っていた。が、
浪士「ん?なんだ?」
向かう先に別の浪士が。
浪士「なんだ。さっきの芸妓じゃないか。」
先ほどの座敷で私を警戒していた1人だった。
私は咄嗟の判断で近くの部屋へ逃げこむ。
行き止まりだった。
浪士「どうした?逃げることはないではないか。さ、戻るぞ。ほれ。」
そして手首を掴まれた。
先ほどの一件から、また騒ぎを起こすわけにはいかない。
かといって、私の事を警戒している相手に黙ってついていく訳にはいかない。
斎藤「そこまでにしておけ。」
2度目の窮地に助けを貸してくれたのは斎藤さんだった。