第13章 隠密
窮地に追い込まれた私。
迫る浪士とその間に現れる影。
浪士「なんだテメェ。妙な格好しやがって。何者だ!」
山崎…さん?
山崎「お、俺は…見ての通り、忍者だ!」
浪士「忍者だと?…!さては、俺たちの会話を見張っていたのか!」
山崎「違う!雨の日も風の日も可愛らしいお嬢様を影ながらお守りする忍者だ!助けを求める声を聞きつけて参った!貴様、うちのお嬢様に何をする⁉︎」
ここに新選組がいることがバレてはまずい。
言い方はどうであれそれを隠そうとした山崎さんの話に合わせるべきだが…
千月「ここで騒ぎを起こすのは得策ではないと思いますが。」
山崎「だが今は目の前の敵をなんとかしなければ。」
小声で相談する私達を他所に、浪士は怒りが溜まってきているようだった。
浪士「訳の分からんこと抜かしやがって。さっさとその女こっちに寄越せ!」
山崎「お嬢様、こちらへ!この忍者山崎、命に代えても貴女をお守りします。」
いや、人気のない場所で芝居は要らないと思うのだが。
とりあえず私達は身を隠すため近くの部屋へ入るが、
浪士「どこ行きやがった。忍者め!出てこんか!」
先ほどの浪士の叫び声がここまで届いている。
まだ近くにいるようだ。