第11章 本来
千月「君菊さん。」
君菊「…なんですか?」
着付けをしてもらっている中、同じ鬼として気になった事を聞いていた。
廓言葉ではなくなったということは、鬼としての意見を言うつもりなのだろうか。
千月「人間ってなんだと思いますか?鬼ってなんだと思いますか?羅刹って…」
君菊「………。」
颯太に言われた事。
"ここは私の知らない世界"
それを認めたくない。
だから知りたかった。
この世界での人間は、鬼は、羅刹は私の知る人間と、鬼と、羅刹と同じなのか。
それとも違う認識なのか。
君菊「私の答えを聞いても、貴女の考えに影響は何もありませんよ。」
千月「え…。な…ぜ…。」
私が考えていた事を察したかのような言葉だった。
君菊「ここが貴女の知る世界でも、知らない世界でも、何も戸惑う必要はないでしょう。やるべき事はもう決まっているのではないですか?」
千月「もしかして颯太に…」
その質問には答えず、ただ笑った。
そして、
君菊「準備は整いました。さ、皆はんにお披露目しにいきますえ。」
優しく背中を押した。