第11章 本来
千月「確かにそれしかなさそうだな。しかし内偵のためとはいえ、私のような戦いしか知らない者が芸妓など務まるのでしょうか。すぐに看破される心配もありますし。」
沖田の提案。それは確かに理にかなっているが、私も一時は幹部だった。それなりに顔も知られている。
新選組に女がいるという機密事項まで漏れかねない。
沖田「時間をかけられるなら監察型を置くことも出来るけど、そんな悠長なこと言ってられる程余裕はないんじゃないかな。」
原田「まあ確かに看破される心配はあるよな。千月に限ってそんな失態はねぇと思うが、そもそも俺らは千月の女の姿を知らねえ。」
元の場所にいた時も袴を履いて過ごしてきた。
今更女らしく振舞えと言われても中々無理があるのではないか。
そう思ったから、正直この策は無理だと思った。
たとえ最善の策だとしても。
だからこそ、次に発した沖田の発言には驚いた、
沖田「だったら今化けさせればいいじゃないですか。丁度ここは島原なんですし。」
その一言でしんと静まりかえる角屋。
外から聞こえる笑い声だけが残って。
永倉「総司!それだ! ちょいと君菊さんよぉ、こいつに女物の着物かなんか着せてくんねぇか?」
千月「おい、ちょっとま
君菊「よろしおす。万事心得てますえ。」
どうしてこうなったんだ。
どこでどうすれば、ここで花魁姿になるのだろうか。