第11章 本来
沖田「でもどうしてここの芸妓がそんな事を僕らに教えるんだろうね。」
君菊「新選組の方々は京の治安を守る為の浪士集団。事が大きくなる前に終わらせて欲しいだけどす。」
君菊さんの言うことはまず間違い無いだろう。
鬼はその人間に勝る力を乱用される事を恐れてひっそりと暮らしてきた。
ならば戦が起きぬ事を願うのは普通。
いや、人間だって誰もが戦を忌み嫌う。ならば終わらせる為の情報提供だとしたら惜しまない。そういうことなのだろうな。
永倉「でも流石に島原だぞ?露骨には張り込めねえだろ。」
新選組を脅かす存在を野放しにしておくわけにはいかない。
しかし顔を知らない相手を捕縛するとなるとこの角屋を張り込む以外の方法はない。
新選組が島原を監視するとなれば当然諍いも起こるだろう。
沖田「でもそこに適役がいますよね?花魁になりすまして内偵できそうな女の子みたいな子が。」
その言葉を聞いた者たちの視線が一点に集中していたことは言うまでもなかろう。
そしてそれが誰かといえば当然私な訳である。