第11章 本来
沖田「へー。あの子か。まさか敵だったとはね。」
千月「私も驚いた。奴が前に話していた妹という線もあるが、どちらにせよ私達の知る人物であったことは確かだ。」
芸妓がこの場にいるということで鬼という単語は避けて話したものの、君菊さんも鬼だ。「南雲」と聞けばきっと鬼だと悟ってしまうだろうな。
千月「土方さん、今後奴の事は私に任せていただけないでしょうか。私は奴と2度接触していますし。警戒しておいたほうがよさそうな相手です。」
土方「わかった。お前に一任する。」
とりあえずこの件は保留にしておこう。奴も騒ぎの後だ。動き辛いだろうからしばらく静かにしているだろう。
君菊「そういえば先日から、なんや見慣れん浪士はん達がよく角屋を利用してなあ。新選組の屯所を襲うなんて野蛮な話しとるんどす。」
突然君菊さんから情報を教えられ、当然その場にいた全員が驚く。
千月「それは本当なのですか。他にも何かありませんか?」
君菊「いいえ。それ以上はうちもしりません。浪士はんがうっかり口からふつこぼしたのを偶然聞いてもうただけどす。ただ、見慣れん浪士はん達が急によく来はるようになったもんやから不思議や思たんどす。」
土方「ほう、そんな事がな。策を考えねえとな。」