第11章 本来
君菊「新選組の土方さんって鬼の様な方や聞いてましたけど、なんや役者みたいなええ男どすなぁ。」
土方「…よく言われる。」
ほんのり頬を赤らめて答える土方さん。
それを見て吹き出す平助と永倉さん。
土方さんは酒に弱いらしく、宴会は始まったばかりだというのに既に酔っているようだった。
永倉「んにしても、立て札守っただけでこんな報奨金が出るなら、全員捕まえてたらどんだけの大金が貰えてたんだろうな。」
平助「ホントホント。8人ぐらいだったんだろ?それぐらいならなんとか出来ない数でもねえんじゃないの?千月も行ってたんだろ?」
急に平助に疑問符を投げられる。
平助とは一もめしてから口数も少なくなっている。
それもあって少し返答し辛かった。
沖田「まさか、また千月ちゃんが倒れたとか?」
千月「いや、それは大丈夫だったんだが…。」
原田「追おうとしたんだが千月に止められたんだ。理由は分からねぇが、かなり難しい顔してたよな?結局あれはなんだったんだ。」
まあ、黙っておく道理もない。新選組の威信に関わる問題ということもあったため、その日の出来事を話し始めた。
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原田「女⁉︎」
原田さんの槍でそいつの素顔を確認した。
南雲薫。以前巡察中に浪士に絡まれていたところを助け、妹を探して京に来たと話していた。
理由は分からないが性を偽って女性へとなりすます鬼。
顔を見られたことを諸共せず再び背を向ける南雲。
それを追おうとする原田さんや隊士達。
しかし奴は鬼だ。人間が下手な人数でかかれば被害も大きいはず。
千月「原田さん待ってくれ。奴は泳がせて欲しい。」
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