第11章 本来
その感は的中した。
三条制札事件。三条大橋の制札を引き抜こうと土佐藩士が現れた。その数8名。
数的に見ればなにも問題はない。
が、次々と捕縛していた最中邪魔が入った。
千月「何者だ。」
刃をその者に向け威嚇する。
顔を布で覆っており、素性がわからないゆえに戦うしかないと悟った私の判断だった。
ただこれだけはわかる。
こいつは鬼で、本気でやりあえばこちらにも被害が出るという事。
次々と土佐藩士の縄を斬ると藩士達は逃げ出す。
それを追う隊士達。
原田さんはこの場に残り、私と共にその鬼を睨みつけていた。
そんな私と原田さんの殺気漂う視線を無視して立ち去ろうとする。
千月「待て!」
原田「待ちやがれ!」
その鬼に刀を、槍を投げたのは同時だった。
私は右腕に傷を。案の定すぐに塞がる。
原田さんの槍は顔を覆っていた布に命中させ、素顔が露わになる。
私の知る顔だった。
千月「南雲…薫。」