第11章 本来
同年9月。三条大橋にて、長州藩は朝敵である旨を知らしめる制札が引き抜かれる事件が起き、新選組に制札警護の命が下った。
原田「どうだった?」
永倉「眠いったらねぇぜ。長州の奴らと刃を交えるならいざ知らず、札の警護じゃやる気も起きねぇしな。」
そう言いながら欠伸を浮かべる。
寝る間も惜しんでしていることが札の警護だ。
そんなものでは大義を尽くしているとも思えないのだろう。
伊東「幕軍が長州藩一派に敗れるこのご時世、不逞浪士を斬って捨てたところで何が変わるとも思えませんが。」
千月「これは幕府からの命だ。不満があるなら我々ではなく幕府に言ったらどうだ。」
伊東「そんな滅相もない。立札の警護とはいえ大切な職務ですからね。ま、せいぜい頑張ってくださいな。」
いちいち余計なことばかり言う。
いい加減にして欲しいものだ。
原田「さて、もうすぐ刻限だし行くか。」
千月「原田さん、私も同行させてはいただけないだろうか。許可は取ってある。」
原田「わかった。けど、自分から志願するとは珍しいな。どうしたんだ。」
なんとなく胸騒ぎがする。
ただの感だが、動かねばいけないという気がするんだ。