第10章 二人
颯太「矛盾…してるよな。この間は無理やり連れて行くとか言ってたのにな。今はこうやって新選組であるお前に頼ってる。」
千月「別に構わない。ただ、未来へ返す気はないと言っていたよな。あれはどういう事だったんだ。」
話もひと段落したということで、私は一番気になっていたことを無意識に口にしていた。
颯太「だってお前、戻ったら絶対殺されるだろ。」
千月「殺される覚悟はとっくに出来ている。」
そう。ここにきてしまったあの日の任務。
標的は確かに抹殺したが、結果的に私達は殺された。
これは間違いなく失敗扱い。
任務失敗は即死刑。
今更戻ったところで殺される事は目に見えている。
千月「それでも私は本来ならここにいるべきではない者だ。いつまでも迷惑をかけ続けるつもりはない。」
颯太「…やっぱ俺はお前を返せねえよ。理不尽じゃねぇか。一度の失敗も許せねぇなんて。」
千月「颯太も戻ったら殺されるんじゃないのか?お前自身はどうするつもりだ。」
颯太「俺はやる事やって帰ってきっぱり殺される。それで終わりだ。」
私と颯太。
2人の鬼の末路はどうなるのだろうか。
やはり殺されてしまうのだろうか。
この先どうなるのかわからず私は現実から目を背けるように瞼をゆっくり閉じた。
千月「…さっきの頼み、引き受ける。」
次私が目を開けた時、そこには誰もいなかった。
ひとまず私達の今後にも関わりかねない事項だった為に承諾はしたが、ここが知らない異世界である事は認めなくない。その思いは変わらず、土方さん達に変若水の事を聞くことは出来なかった。