第10章 二人
同じだった。
沖田も私と同じだった。
病用の為に新選組から離れろ。そう言われた。
でも、離れなかった。自分が自分でいる為に。
沖田「千月ちゃん。盗み聞きなんて、相変わらず期待を裏切らないことしてくれるね。」
どうやら気付いていたらしい。
このまま去るつもりだったんだが。
千月「悪いが私は知っていたぞ。お前が労咳であると。」
沖田「『沖田総司は労咳で死んだ』って教わったの?酷いなぁ。知ってて黙ってるなんて。」
千月「私は何も教えないと言ったからな。」
でも、正直教えようか悩んだ時もあった。
この時代において結核…いや、労咳は死病。
たとえ教えたところで何とかなる病ではないし、それでも沖田は戦い続けると思ったから。
千月「教えた方がよかったか?」
沖田「別にどっちでもよかったかな。どうせ自分でも薄々気付いてたし。あ、そうだ。折角だし今から約束の勝負する?」
千月「死病だと告げられた直後に勝負か。なぜこんな時にそんな事思い出すんだお前は。…いいだろう。木刀を借りてくる。」