第9章 吸血鬼
穏やかだった話も突如終わりを告げ、あたりには息苦しくなるような重い空気だけが張り詰めていた。
千月「見るな!離れろ!」
ずっと呻き声を上げながら葛藤する私。
それを横目に立ち往生している平助。
苦しい。
こんなに酷い症状は初めてだ。
血が、血が欲しくて堪らない。
千月「は、はぁ…ぅ………ぅ………っ……」
呼吸も乱れて体を制御する事が出来ない。
ここままでは、
狂ってしまう…!
平助「千月、もしかして血が欲しいのか?」
声は届いているのに、同意する事も否定する事も出来ない。
千月「うっ…くはっ…っ……あっはぁ……」
自然と収まるのを待っていたら、私は何人殺すだろう。
ここまま耐え続けたら、どれだけ喉が飢え続けるのだろう。
でもあの姿を見て、これからも平助は私に今までと同じ扱いをしてくれるのだろうか。
駄目だ。もう狂ってしまうのも時間の問題だ。
誰かを殺すくらいなら、このまま飢え続けるくらいなら
嫌われても構わない。
そして気がつけば私は自分の腕に噛み付いて、無意識に血を吸っていた。