第9章 吸血鬼
沖田「確かに千月ちゃんの吸血衝動の事も気になるけど、元々その事が聞きたかったんだしね。」
こくりと頷く。
私も本来ここで話そうと決めていたのはこの事だ。
一番話さねばいけない事だ。
私も話す覚悟を決めてここにいた。
が、
千月「邪魔が入ってしまった様です。」
土方「そうみてぇだな。」
部屋の外から聞こえる足音。
その気配から誰なのかはわかった。
伊東「皆様おはようございます。幹部が勢揃いして何を話していたのですか?」
空気が一瞬にして淀んだのはすぐにわかった。
永倉「よりにもよってあいつかよ…」
小声で呟く永倉さん。
確かに、こいつにだけは絶対に知られてはいけないからな。
しかしこの場にいるのは伊東以外の幹部。
何か重要な話をしていたという事は看破されてしまうのだろうな。
千月「おはようございます。昨晩の二条城警護の事で少々気になることが。しかし、参加していなかった伊東参謀に不要な負荷を負わさぬ様にと我々だけで話しておりました。」
伊東「あら、そうでしたの。ありがたいお心遣いですが、私も参謀として重要事項は頭に入れておきたいですわ。次回からは私も会議に参加させて下さいね。ではお邪魔しました。」
鬼の事は伏せつつも何とか納得させることが出来た様だった。
しかし、この後の話を盗み聞きされる可能性があると考え、話の続きはまたの機会にと解散になった。
部屋を出る直前に土方さんから刀を受け取った。
武士にとって刀は命と等価だと言いながら、昨晩二条城に置いてきてしまった私の刀を渡してくれた。