第9章 吸血鬼
尚この場にいるのは山南さん、伊東以外の幹部。
羅刹及び変若水の存在を伏せている伊東は当たり前だが伝えられん。
山南さんには状況説明したくなかったのだ。
最近はより厳しさを増し、変若水の研究なのか、頻繁に部屋にこもるようになっていた。
そんな現状の今、彼にこんな事を説明して下手に狂わせる事になるのだけは避けたかったのだ。
千月「そもそも東洋鬼と西洋鬼は繁殖力が違います。
東洋鬼は子を産む事でしか鬼を増やす術はありません。元々人間よりはるかに少数派な鬼の一族は次第に純血が減っていき、今では数えるほどしかいません。風間は数少ないその1人です。
一方、西洋鬼の繁殖力はかなり大きく、人に噛み付く、または鬼の血を飲ませる事で人間を鬼に変えることが出来るのです。その繁殖力の強さが影響しているのかは定かではありませんが、一定以上血を飲まねば死ぬ。日光を浴びることで死ぬ。という弱点もあるのです。
その西洋鬼の繁殖力の強さを用いて作り出されたのが変若水なのです。」
土方「って事は変若水を飲むと西洋鬼に。これから人としては生きられねえって事か。」
千月「半分正解です。が、西洋鬼になる訳ではありません。
人間は強大な鬼の力を欲しました。しかし血が無ければ生きられない。日を浴びても死ぬ。そんな弱点は要りません。西洋鬼の血をそのまま飲めばそんな苦痛もまとわりつくようになる。
それを恐れて研究を重ね、人間にも適応し易くしたものが変若水です。
研究の成果もあって血を求める衝動は最小限に抑えられ、日光を浴びても多少体調は優れないものの死にはしません。」