第9章 吸血鬼
土方「やっと話す気になったのか。」
千月「はい。あんな事の後ですし、元々颯太と再会したら話すつもりでした。」
二条城護衛の翌日、広間に幹部が集まり、私の話す言葉に耳を傾ける。
千月「まず始めに、皆さんももうお気づきかと思いますが。私は人ならざる者、風間達と同じく鬼と呼ばれる種族です。」
風間は昨日「これは我ら鬼の問題だ」と言っていた。
この「我ら」には当然颯太も含まれる。
そして私は颯太と共にここより先の未来から来た身。
となれば大方予想はつくだろう。
斎藤「そもそも鬼とは一体なんなのだ。」
千月「姿は人間と同じだが、身体能力、治癒力など、人間をはるかに凌ぐ力を持っています。分かりやすく言うならば、産まれながらに羅刹と同じ力を持っているということです。」
沖田「じゃあ、鬼も血で狂ったり、日差しに弱かったりするのかな?」
千月「いいえ。羅刹を生み出す変若水の原料は西洋鬼の血です。吸血衝動も日差しに弱い性質も西洋鬼特有のものです。ですから風間達にはそれはありません。」
私が人ならざる者と分かった途端に恐れられると思っていたが、それほど驚いている様子もなかった。
それだけ私が来てから不可解な事が起きているということだ。
今更そんな事を言われたぐらいでは動じないのだろうな。