第8章 鏡
風間「夜真木、そこまでにしておけ。」
その戦いに終止符を打ったのは意外な人物の意外な言葉だった。
颯太は舌打ちを一回。そのまま風間の元へ。
颯太「風間さんの命令じゃ止めざるを得ないかな。でも、俺はお前を絶対に許さない。」
痼りがあるものの、終わりを告げられた今、颯太は鋭い目付きで平助を睨むことしか出来なかった。
しかし私には疑問が。
千月「何故お前が止める必要があったのだ。」
ここで引いてくれるのは正直ありがたい事。
しかし元々私を狙い襲って来た、戦況もあちら側にとっては問題ないどころか優位に立っていたというのに、止める理由がわからなかった。
風間「長居をして人間の情に毒されては本末転倒というものだ。どうせ弱き種族、お前を攫う事など今日に執着せずとも容易い事だ。」
颯太「俺はお前を許さない。絶対に殺す。」
風間「命拾いしたな。また会おう桜時千月。」
こうして2人の鬼は夜の闇へ消えた。
その後私はこの戦いで怪我を負った平助と沖田を2人に知られぬようそっと治癒した。
私の事情に巻き込み、無益な戦いで怪我を負ったのだ。たとえ浅いものだとしても治さねば申し訳なくて堪らなかった。
発作の中で治癒をしたせいなのか、私はまた高熱でその場に倒れた。
その日、吹く風が酷く冷たく感じたのは気のせいだろうか。