第2章 #1 特別研修医
10分ほど経って、『メンバー』と思わしき人々が、望愛達が待つカンファレンス室に集まった。
「今日から院長の方針で、特別研修医としてこのチームに入った、神瀬と馬渕だ」
「神瀬 望愛です。よろしくお願いします」
「馬渕 飛馬です。よろしくお願いします」
西田に紹介されて、2人は礼をする。
「にしても若けぇな。最近の医大生はこんなに童顔揃いか?笑」
「奥原、この2人は医大生じゃない」
「は?医大生じゃなくて誰がインターンに来るんだよ。笑」
奥原と呼ばれた栗色の髪の毛の西田より少し年下の男性は笑いながら西田に聞く。
「この2人は、まだ中学生だ。しかもこの春に入学したばかりのな…」
「冗談は止めろよ、西田」
奥原の声色が変わる。
「西田先生、それはいくら何でも…」
弱々しそうな若い男性医師もおどおどとしている。
「間違えではありません。私達は陽南大附属中の医療コースの1年生です」
望愛がそう断言すると、奥原は口調を荒らげた。
「ふざけんじゃねぇ!ここは遊びで来るような所じゃねぇんだ!第一、医師免許も取ってない奴が『研修医』なんて名乗るんじゃねぇぞ!」
その場が一瞬にして凍りついた。
その時だった。
「奥原先生、落ち着いて下さい。私からの説明が足りませんでしたね」
カンファレンス室の扉を開けたのは、畑山院長だった。
#1終わり