第20章 剥がれ落ちた花びらが舞う
「アンタのせいで!!!
精市に!蓮二に!比呂士に!
ブン太に!雅治に!
赤也に!!!!
疑われたじゃない!!
どうしてくれるのよ!!」
「…西崎さ、?」
「あぁぁ!!もう!!!」
その姿はあまりにも
哀れで、醜くくて
ついさっきまであった
誇らしさが欠片も残ってない
ただ自分の思い通りに
いかないことに怒っている子供のようだ
「お、落ち着いて…!」
「赤也になんて言われたか
アンタも聞いてたでしょ!?
西崎先輩よ!??
前まではエリナって呼んでくれていたのに!!!」
そこかよ
名前の事でそんなに
起こっているんですか
めっちゃどうでもいい
「あ、あ」
「なんで金坂みたいに
上手くいかないのよ!!!まじムカつく!!」
「え…?」
彼女は、もう本当に
化けの皮を剥がすのが下手だ
聞き逃しはしないよ?
今、言ったよね
『金坂』って
「それ、どういう事?」
「はぁ!?何が!!!」
「っ、金坂みたいに
上手くいかないって、
どういう事!?」
私はこの人のせいで
金坂さんから理不尽な暴力の被害者となった
それに西崎さんの境遇を
信じている設定なら
今怒鳴っても不思議じゃない
それに、彼女も
気づいたんだろう
意地悪そうにニタリと微笑みだした
「あーアンタはっていうか
皆知らないんだもんね?
エリナの手のひらで踊らされていた事に!!」
「だから、どういう事!?」
「嘘よ!!全部!!!
金坂が仕事教えてくれなかったり
したのも全部嘘!!
エリナが!アイツを!
陥れたのよ!!!」
「!!
そ、そんな…」
「みーんな騙されちゃって
馬鹿みたい!!!
そーいやアンタは金坂に殴れてたっけぇ?」
キャハハハハ!!、と
甲高い笑い声をあげる彼女
彼女は今
最高の気分であろう
でもね?
馬鹿みたいってのは
こっちの台詞さ
自分の優位を信じて疑わず
簡単に敵に自分の手札を
見せてしまうなんて…
愚の骨頂
「酷い…。
私、西崎さんの事信じていたのに…」
「騙されるアンタが
悪いのよ!!」
こらえきれず、溢れる涙が
いくつも頬を伝っていく
思わず手の甲で
口元を隠した
笑ってるの、バレちゃう