第19章 ビニール傘の向こう側が見えない
「これは…、
何があったんだ!?」
真田くんが
驚愕の表情で大声をあげる
何があったか、なんて
一目瞭然では?
「私が、来たら
こうなってて…!!西崎さん!」
「は、はい」
「酷いよ!!!
私が憎くたって…
ここまでする必要ないじゃん!!」
「!?」
私の思わぬ言葉で
西崎さんは焦っている
だってこの台詞は
貴女が言うつもりだったでしょ?
この部室にいた
私に全責任を覆い被せて
悪役にしたかったんだよね?
「な、に言ってんだよぃ」
「西崎さんの事、
大切だと思って、たのに。
私、あんなの見たあとじゃ
信じられないよ!!!」
泣きながら叫ぶと
やはり言いにくい
言葉が詰まってしまう
涙を拭い、西崎さんを睨むと
彼女は否定もせず
ただ慌てていた
汗がみっともないよ?
お姫様も形無しだ
「如月は
なにを見たんじゃ?」
「雅治…!?」
「聞くだけじゃて」
聞くだけ
そう、聞くだけ
それだけで
君たちは騙される事に
気付かないのかなぁ?
私が何を持ってるかも
分かってないくせに
毒を流し込んでくれと
言ってるようなものさ
「見ちゃったの…。
西崎さんが、部室から
出てくるとこ…」
「それは普通の事ではないのか」
「中がこんな有り様になってて、
笑いながら出てくるのが普通!?」
「!!」
え、西崎さんったら
何を青ざめているの
もしかしてほんとに
笑いながら出てきたの?
図星つかれちゃった?
もう救いようのない
馬鹿じゃないか
救う気ないけど
「西崎さんを、信じたい。
でも、でも…!!」
しかも中はご丁寧に
私の方のロッカーの方が
グチャグチャ
そりゃ西崎さんに
疑い目がかけられても仕方ない
「じゃあなんで
エリナは俺達を呼びに…」
「ち、ちが!私は!」
「蒼先輩のせいに
しようとしてたんじゃないッスか?」
「あか…!?」
冷めた目、冷たい口調で
そう言った赤也くん
私の好み覚えてきたのかな?
ナイスアシストだよ