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道化師恐怖症。

第19章 ビニール傘の向こう側が見えない




こうすればもう
この手は使えない

だって今日の事があるのに
またやろうとしたら
それはただの馬鹿だ

私がそこまでの馬鹿じゃない事
皆は分かってる


「わざとじゃないなら
仕方ないね…。
でも、エリナが風邪を引いたら
どうするつもりだい?」


それでも責め立てようとする
幸村くんは流石です

そんな所に惚れません


「彼女の分も仕事をする。
それくらいしか
私には出来ない」

「おま、反省してんのかよ!」

「今は彼女を
着替えさせてあげるのが先」


もう一枚タオルを差し出せば
彼女は大人しく拭き始めた

…匂いはしないから
中身は水だったみたい

これならベタつかないからか


「自分のジャージの方がいい?」

「…うん」

「わかった。
ごめん、出すよ」


彼女のロッカーから
長袖のジャージを出す

下は濡れてないから
上だけでよし


「着替えてもらうから
皆は外に出てて?」

「…そうですね。
レディの着替えを見るわけには
いきませんから」


柳生くんの声で
皆はゾロゾロと出ていった

赤也くんが心配そうに
こちらを見ていたけど
大丈夫、という意味をこめて
笑っておく


「大丈夫?西崎さん」

「…大丈夫よ」

「急に驚いたよ。
ほら風邪ひかないように
気をつけてね」

「…わかってるわよ!」


バシッ

彼女の右手が私の手を叩く

彼女の長い爪のせいで
少し切ってしまった

細く赤い線が
手の甲にできる


「…自分は大事に、ね?」

「っー!!
さっさと出てきなさいよ!」


おー怖い怖い

そんなに怒らなくても
いいのにさ


1回失敗したくらいで
諦めたりしないでね?

いっぱいあるでしょ!
陥れ方なんて


ま、何をしてきても
私は回避しちゃうけどねー

だって殴られたり
蹴られたりなんて…

痛い事はもうこりごり


西崎さん


期待してるよ











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