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道化師恐怖症。

第19章 ビニール傘の向こう側が見えない




私はできるだけ
西崎さんを煽った

彼女がもっと
正常な判断が出来なくなる様に

怒りを爆発させ
愚かな事をするように


単純な彼女のこと
もうそろそろ陥れる為に
手を出してくる 直接

それか部員を使ってくるかな


なんでもいい
楽しめれば


私は自分を犠牲にして
自分の為にやってるんだから
西崎さんにも何か
犠牲してもらわなきゃね

とりあえず
プライドは傷つけさせて
もらったよ


「蒼、ちょっと来てぇ」


外で洗濯物を干していると
西崎さんに気味の悪い
猫なで声で呼ばれた

部室で何か仕掛けるようだ


「うん?どうしたの?」

「こっちこっち…」


手で招かれ
部室の中へ入る

彼女はニヤニヤと笑いながら
手を後ろへ隠し、立っていた

大方ドリンクでも
被るつもりなんじゃないの

馬鹿みたい


「なんの用事?」

「ふふっ!ばーか!
アンタが悪いんだからね!」


やっぱり、持ってた

ドリンクが並々入ってるボトル


彼女はそれを振り上げ
自分自身にかけた

バシャッと派手な音

私は呆気にとられ…る訳ないだろ

彼女が奇声ともとれる
叫び声をあげると同時に
私も驚嘆の声をあげた

負けないくらい、でかい声で


バタバタとコートから
走ってくる音がする

私は急いで畳んであるタオルを
乱暴につかんだ


「どうしt「西崎さん大丈夫!?」


部室に慌てて入ってきた皆

幸村くんの声に被せて
私は彼女に声をかけた

タオルで濡れた頭を拭いてあげる


「!?」


西崎さんは私の行動が
予想外すぎたのか
何も喋れない状態

ざまぁみろ

もう私の壇上だ


「如月さん、一体…!?」

「さっきドリンク作ってたら
急に虫が飛んできて、ビックリして
私が西崎さんにドリンクかけちゃった…。
ごめんなさい西崎さん」

「え、いや、」

「あんまり大きい虫だったから
驚いちゃって…。
ジャージも濡れちゃったね。ごめん。
私の体育のジャージでよければ
貸すよ!」


彼女が何かを言う暇は与えない

あくまで私が悪いフリ
しかもわざとじゃないって
ところがミソ


こうすれば皆
納得しちゃうじゃん?










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