第16章 パーティーは0時過ぎてから
その日の部活
昨日とはうって変わって
西崎さんと部室で2人きりに
なる羽目になった
いつものように仕事する私の横で
椅子に座りながら携帯を構う
西崎さんはどこか不機嫌
「西崎s「ねぇ蒼」…なに?」
人の話遮ってんじゃねーよ
…なーんて言わないけど
本気でそう思った
「蒼って本当に
昨日、貧血で倒れたのー?」
まーだ疑いますか
実際貧血じゃないけど
てか今日の会話
殆どそれだったよね
かなりウザかった
しむけた本人が言うのもアレですが
「うん、そう言ってたから」
「…誰がぁ?」
「赤也くんが教えてくれたよ」
「あ、かやくん?」
なに言ってるの、とでも言いたげに
こっちを見る西崎さん
そりゃそんな顔もしたくなるよね?
つい昨日まで
私は彼の事を〝切原くん〟って
呼んでいたんだから
その面白い表情を見てから
私、何か変な事言った?と
問いかけながら首を傾げる
「蒼って、赤也と
仲良かったの…?」
「え?どうだろう…。
私はそう思ってるけど
赤也くんはどうか分かんないや」
昨日の様に〝赤也くん〟を連発
段々と表情を曇らせていく彼女の
心中お察し致します
「赤也ってぇ…
仲良い子以外に下の名前は
呼んでもらいたくないって
言ってたよぉ」
それは多分、実際に
西崎さんが言われたんだろうな
その言葉に私が少しでも
動揺すると思ったんだろうか
逆、逆
私はわざとらしいくらいに
喜んでみせた
「な、なんで喜んでるわけ?」
「赤也くんも仲良しって
思っててくれたんだと思うと
嬉しくてさ!」
「は?」
「だって昨日、赤也くんから
名前で呼んでって言われたから」
半分嘘で半分本当
別に彼から呼べと言われた訳じゃない
だけど彼から私の名前を
呼び始めたんだから
似た様な意味だよね
私が嬉しそうにするにつれ
彼女はドンドンと
怒りを露わにし始めた
分かりやすいにも程がある
だって貴女は
彼から拒否されてるんだもんね
私は受け入れられてるのに
可哀相な西崎さん
自分よりどう考えてても
顔面偏差値が下の人に負けるのは
貴女にとって
最悪の気分でしょ