第16章 パーティーは0時過ぎてから
「あの時はなんで
トイレットペーパー買ってたの?」
「親に頼まれてて…」
「あーなるほどっ」
「蒼先輩もそーだったんスか?」
「うん!
学校帰りに寄れると
頼まれちゃうよねー」
「そうそう!
そうなんですよ!」
切原くんだから…なのか
他愛もない話でも凄く楽しい
彼の笑顔が
ひたすら眩しくて
思わず瞬きしてしまう
「あの、急にこんな事言うのも
アレなんすけど…!」
「ん?なに?」
「俺、蒼先輩とこーやって
帰るのすげー楽しいです!」
嗚呼もう、また
きっと君のその表情は
心からのものでしょう
だから…かな
なんかね?ドキドキするの
胸がキュウってなるんだよ
一瞬だけ
顔が火照った気がした
「そう言ってもらえると嬉しいな。
…名前で呼んでもらえるのも
親しくなれた感じで嬉しい」
「え?…あっ!!」
またまたそんな顔しちゃって
薄暗い中でも分かる
耳まで真っ赤なことが
「す、すみません!つい…」
「なんで謝るの!?
私、喜んでるのに」
「怒ってないッスか…?」
「逆になんで怒る必要が!」
「馴れ馴れしいかな、と」
変なところ遠慮しいだな
そんな所も
彼らしいんだけど
「嬉しいんだってば!
ありがとね。…赤也くん」
「っ、え!?」
「え、合ってるよね!?
赤也くんだよね?」
「あ、合ってます!!」
良かった
間違えたのかと思った
人の名前間違えるなんて
最低な事、流石にないか
あまりに驚くから
こっちがビックリしたじゃん
「だよね!赤也くんだよね」
「そ、そうなんですけど…」
「どうかした?」
大きな手の平でそんな風に
顔を隠されちゃ顔が見れない
でもまぁ見えてる部分から
どんな顔してるか想像はつく
うーうー唸りながら
彼はポツリと言った
「あんま連呼されると…
照れるんで…」
「!」
な ん だ こ の 生 き 物
可愛い 可愛すぎる
こんな可愛い人見た事ない
名前呼ばれただけで
ここまで照れるとか
可愛すぎて
ニヤついちゃう
「へー。
赤也くん、照れてるんだー」
「ちょ、だから!」
「ん?どうしたの?
赤也くん」
「も、もぉー!」
怒る彼をからかいながら
私は家に着くまで
名前を呼び続けた