第16章 パーティーは0時過ぎてから
それから私は
またウトウトしていた様だが
扉の派手に開く音が響き
目が覚めてしまった
「こら!静かに入って来なさい!」
「す、すんません。
蒼先輩居ますか?」
「えぇ。寝てるんじゃないかしら」
先生と彼の声が聞こえる
切原くん…本当に来たんだ
「え、寝てるんだったら
起こさない方がいいかな…」
「どっちしろもうすぐ
下校時刻よ。
起きてもらわないと困るわ」
「そーッスよね!
んじゃ、ちょっと起こします」
パタパタと足音が近づいて来たのを
確認して、私はカーテンを開けた
「うぉ!!
起きてたんスか!」
「うん。ついさっきね」
「あの、っと
大丈夫…ですか?」
心配そうな瞳
彼は知ってしまったから
あの時の私の姿を
そんな目になるのも当然
それでも私は気付かぬフリして
笑顔を見せる
「寝てたらだいぶ良くなった!
あんまり長居するのもあれだし
とりあえず出よう?」
「え、あ、そうッスね」
そういえば私、
今ジャージじゃないか
制服も鞄も
部室に置きっ放しだ
「切原くん、部室に
着いてきてもらってもいい?」
「全然いいッスよ!」
「ありがとう。
じゃあ先生ありがとーございました」
「はーい。お大事に」
バイバイ、と先生に手を振って
私たちは保健室を後にした
私の後ろを歩く切原くん
話しかけずらいのか
一言も話しかけてくれない
私からいくしかないか
「切原くんが
運んでくれたんでしょ?」
「は、はい」
「ごめんね、重いのに私」
「んなことないッス!
めちゃ軽かったですよ!」
「ふふっありがとう。
それにしても…
情けないなぁ私」
そう呟くと
切原くんはビクッとした
それを見てから
私はまた前を向きなおす
「貧血で倒れるなんて」
「っ、へ?」
思った通りの声が聞こえて
私は満足
もう一度後ろを振り向いた
「馬鹿だよねー。
部室で貧血で倒れるなんて!
今度からはこんなこと
ないようにするから」
「え?え、」
…駄目だよ切原くん
もし私が本当に記憶を失ってて
今の切原くんを見たら
不審に思うでしょう?
そしたら私は事実を知る事になって
傷つくじゃないか
嘘は…最期まで
通さないと
私みたいに