第15章 正直者が涙を零す世の中ですね
あーったく
丸井先輩が変な事言うから
調子出ねぇ…
思ったように
身体うごかねぇし怠い
「赤也!!たるんどるぞ!」
「すんませーん。でも…」
「言い訳なんていらんわ!!
外を走ってこい!!」
「えぇ!?」
「赤也、行ってきな」
「部長まで!?
…わかりましたよー」
部長も怒ってんのかな
いつもなら助けてくれんのに…
でも怒ってるように
見えねーんだけど
それよか機嫌よく見えるってか…
「赤也、どこ行くんじゃ?」
「副部長達に怒られたんで
外周してきまーす」
「そりゃお疲れさん」
ニヤニヤと笑う仁王先輩
この人はこーゆー人だよな!
「なんだ赤也。外周か」
「そーなんすよ!
ジャッカル先輩一緒にどうッスか?」
「ぜってぇ嫌だよ!」
「遠慮しなくていいッスよー!」
「してねぇよ!」
「赤也!!!はよ行かんか!!」
やべ、これ以上喋ってると
更に怒られんじゃん
勘弁勘弁
もーさっさと終わらせて
蒼先輩に癒してもらお
…てか蒼先輩全然見ないし
丸井先輩もいなくね?
あの人なら真っ先に
なんか言ってきそうなもんなのに
おかしいなーなんて思いながら
コート外へ行こうとすると
なぜか西崎が目に付いた
いつものように
下心丸見えな笑顔を
振りまいている
普通なら、俺は
気持ち悪いとおもうだけなのに
なぜか今は
俺の背筋を寒気が貫いた
「(な、んだ…?)」
なんで俺
こんな震えてんの?
今、俺の知らないところで
起きてはいけないことが
起きているんじゃないか
大切な何かが
危機に晒されているんじゃないか
虫の知らせと言うやつなのか
不安は膨張して
動悸が乱れ始める
気持ち悪い
吐きそうだ
何が俺を不安に…
コート外に出ても
見かけないその姿に
俺はようやく気付いた
垂れ落ちる汗が
焦りを加速させる
なんですぐに
気づかないんだよ
蒼先輩!!!!