• テキストサイズ

道化師恐怖症。

第12章 銃声で僕らは駆け出した




「は?」


みぃちゃんの表情は
なんと言えばいいのか

驚愕…いや、驚嘆

その発された一文字に
彼女の気持ちが詰め込まれている

有り得ない

そんな感じだろう


「強制でね…?
断れないんだってさ…。
ねぇどうしよう、どうしよう!」

「お、落ち着いて蒼。
場所を変えよ…ね?」

「う、ん」


普段では考えられないような
私の動揺ぶりに、みぃちゃんは
焦りの色が隠しきれていない

みぃちゃんには申し訳ないけど
このままの私でいかせてもらう

私が平常心だったら
おかしいでしょう?


「蒼、サボっていい?」

「え、あ、うん。
大丈夫…」


どんだけサボるんだよっていう
ツッコミはなしにしよう

次のテストの不安が過ぎったが
目の前に集中


「あんまり聞かれると不味いから。
学習ルーム行こう」


学習ルームとは
一番上の階の端っこにある
誰も使っていない教室

授業中じゃなくても
来る人なんていないと思う

なんだか陰気臭いところで
営みをする気にもならない所だ


あぁ、ここの空気は
どうも好きになれないよ


「入って…」

「うん、」


少しだけある机に
そのまま腰をかける

みぃちゃんはちゃんと椅子に座った


「…」

「…」


お互いに沈黙

何から話せばいいのか分からない
…という風にでもしなきゃだから
私からは話さない

ただ俯いて
みぃちゃんの言葉を待つ


少し間が空いて
彼女は口を開いた


「辞める事は…できないのね」

「強制だよ…?
なんで!なんで私だけ…!!」

「大丈夫!蒼は私達が
守ってあげるから!!」

「怖いよ、怖いんだよ私、、!
そんなに、強くないのに!!」

「もう痛い目にも怖い目にも
合わせない!!
蒼には私達が…いや私が。
私が付いてるんだから。ね?」

「みぃちゃん…」


肩に手を置いて
みぃちゃんは私の顔をのぞき込む

うっすらと笑う彼女は

綺麗で、ほんとに


妖しく輝いていた





/ 181ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp