第11章 ジョーカーの麗しき嘘
「ご、ごめ...。
止まんない、や」
「辛いもん聞かせて
すんません...」
「切原、くんは
悪くないから」
そう、彼は何も悪くない
それに私に悲しさなんてものは
これっぽっちもありゃしない
ただ可哀想な子を
演じてるだけ
まだ少し出る涙を拭い
無理をするように笑ってみせた
なんか、痛々しいかな
「もう、大丈夫だよ」
「…そんな風には
見えねーッスよ?」
「大丈夫だから。
私に人を見極める力が
無かっただけなの」
「っ!!先輩は…!
人を責める事を知らないんスか…?」
どうやら彼の目に
私はよほど善人に映ってるようだ
…猫かぶりすぎか?
まぁこのくらい素直な子には
やり過ぎくらいが丁度いい
「そんな事したって
結局辛くなるのは自分…」
「なんで、そんなに
優しいんだよっ!?」
「っ!?」
急に荒げられた声に
驚きで体が反応する
優しい?全然だよ
だって全て
計算なんだから
「如月先輩は恨むとか
そういうの無いんすか!?」
「っ…だ、って」
「おかしいッスよ!!そんなの!」
「うるさい!!」
思わず出た叫び
私にそんな事言われると思わなかったか
今度は切原くんが驚いてる
実は私も
こんな台詞言うつもりじゃ
無かったのにな…くそ
「憎いよ!!悲しかったよ!
仲良く出来ると思ってた子に
引き立て役だの何だの言われて
辛くならない人なんている訳…!」
適当に思いつた言葉を
つらつらと早口で並べた
爆発したように
あたり散らすように
下品に怒鳴る
もしかしたら情緒不安定すぎて
嫌われる?と思ったのだけど
…切原くんの行動は読めない
だって、私
なんで、今
「〜っ!??」
抱きしめられてる