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道化師恐怖症。

第11章 ジョーカーの麗しき嘘




呼びだしたのはみぃちゃん?

うわぁ、意外すぎ
低レベルなファンクラブの誰かだと
思ったのに

これは聞き耳立てとかないと


「私、部活で忙しいんだけどな」

「大した話じゃない。
…アンタ、逆ハー狙いでしょ?」

「えぇ?」


逆ハー狙い

普通に過ごしてたら
聞かないような変な単語

現に私は、最近まで
この単語を知らなかった

大体意味は分かるとしても


「下手なの、演技が」

「なんのことかなぁ?」

「しらばっくれてるつもり?
まぁいいけどね。
皆どうせアンタから離れるから」

「…はぁ?」

「ちょっとチヤホヤされて
いい気になってたら痛い目見るよ。
って話なの。理解できた?」


あまり聞かない
みぃちゃんの冷たい声

忘れてはいけないんだ
みぃちゃんは会長さん

そりゃ直々の忠告くらいあるか


「…あぁ、アンタ
仲良しの蒼ちゃんを私に
取られてるからヤキモチ焼いてんの」

「は?」


出てきた、私の名前

掴まれてて離されてない手に
力を込めて緊張したことを切原くんに
伝えてみる

彼も安心させるかのように
力を伝えてくれた


「安心しなさいよ。
あの子はただの道具だから」

「…アンタ何言ってるか
分かってんの?」

「分かってるに決まってんでしょ?
あんな周りに媚び売ってる子の
何処が良いんだか。
エリナの引き立て役にピッタリで
ありがたいわぁ」

「っ、」


言った 言ってくれた

その言葉を合図にして
私は涙腺を壊した

ポロポロと伝う涙
熱い、熱い雫

声を出さないように
嗚咽を漏らす


指でいくら拭おうが
止まらない涙に面白くなる

ほんと私って
女優にでもなれたりして なんて


「蒼を馬鹿にすんのは許さない」

「これからも存分に
利用させていたただきまぁす」

「っ!!ふざけんな!」

「あ、もうそろそろ戻らないと。
じゃあねぇ。可哀想な
ファンクラブのかいちょーさん?」


むかつく笑顔を残し
去っていった西崎さん

みぃちゃんは悔しそうにしながら
少し経ってからその場を離れた


残された私と切原くん

もうそろそろ止めようと思ったが
簡単には止まらない

涙って、面倒だな





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