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道化師恐怖症。

第10章 白薔薇はペンキ 赤薔薇は血で




「な、な、」

「赤也くん、今来ましたか」


どうやら柳生くんが切原くんを
ここに呼んだようだ

だったら私は邪魔だろう

切原くんには私がいる事を
知らされてなかったようだから


「じゃあ戻るね」

「待って下さい!
私以外にも貴女と話したがっていた
人間がいるんです」

「…?」

「彼が切原赤也くんです。
ご存知…ですよね」


この学校でテニス部レギュラーを
知らない奴なんているのか

いや、いないだろ


「き、切原赤也ッス…」

「どうも。如月蒼です」


お互い知ってるけどね


「赤也くんは如月さんと
話してみたかったそうなんです」

「ちょ、柳生先輩
余計な事言わないでくださいよ!」

「事実でしょう?
ではごゆっくり」

「は、ちょ…」


柳生くんは何の説明も無しに
ここを出て行ってしまった

なんで切原くんなんだ

ただでさえあまり雰囲気が
良くないというのに

仕方ないのでもう一度腰掛ける


「切原くんもどうぞ?」

「あ、は、はい」


口調のどもり
薄っすらとかいてる汗

緊張してる?私如きに?

もしかして切原くんはまさか…
いやその可能性は低すぎる
だってそういう感情を抱かれるほど
関わっていない

だから分からない…面倒だ

とりあえず聴きだすか


「それで私に話したいことって?」

「え、っと…
その、頬はもう…大丈夫ッスか?」

「あ、うん。切原くんのおかげで」

「俺は大した事してないんで…」


噂から聞くよりずっと謙虚だ

というか何が言いたいの
頬なんてどうでもいいでしょ


「ハンカチありがとうね」

「や、大丈夫ッス…」

「…」

「…」


続く沈黙の時間

この時間が無駄すぎてならない


早く話してほしい
私は暇じゃないんだ


「それだけ?」

「ち、違います…」

「じゃあ何かな?
早く話してもらえると助かる」


少し語尾を低くすると
切原くんは肩を軽くビクつかせた

女子か 小動物か


「ッ…。
如月先輩は…その
西崎先輩の味方ッスか…?」

「は?」

「金坂は…嫌いですよね。
じゃあ西崎先輩の事は
どう思ってるんすか?」

「急に…」

「もし、先輩が
2人に怯えているなら」


俺が先輩を守りたいんです







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