第8章 変化って奴は気まぐれさ
さーて、教室に戻るか…
と、思ったら校舎内に6時限目を
告げるチャイムが鳴り響いた
今から行っても完全遅刻
目立つことこの上なし
目立ってまでいくほどの価値が
次の授業には無い
サボり決定です
また保健室に戻ろう
保健室に戻ると
今度は青色のウェーブがかった
美しい髪の男の人が
誰か分かるよね、みんな
あ、ちなみに保健室の先生は
突然の出張らしい
だから保健室は出入り自由
「…あれ?如月さん」
「幸村くんだ。こんにちはー」
「うん、こんにちは。
君、動いて大丈夫なのかい?」
「平気だよ!健康だけが取り柄ですから」
テニス部主将 幸村精市
その甘いマスクと笑顔で
色んな女の子がやられるらしいと
みぃちゃんが言っていた
裏が全く見えなく
魔王的オーラ(笑)があるらしいけど
今は裏も表もあったもんじゃない
椅子に座っている幸村くんより
少し離れたベッドに腰をかける
必要以上に近づかないし
近づきたくもない
「如月さんには昨日も今日も
申し訳無いことをしたね」
「…金坂さんのこと?」
「あぁ。一応うちのマネージャーもどき
だったし、部長として謝るよ。
すまなかった」
「幸村くんが謝る事じゃないよ。
それに私は全然平気。
それより西崎さんは?」
「エリナが…なんだい?」
瞬間的に空気が凍る
幸村くんの目の色が変わったから
それが1人の女を信じて止まず
堕ちていく男の目?
何も怖くない
それで立海テニス部の部長?
それで魔王様?
笑っちゃうよ
可笑しくて可笑しくて
たかが西崎さんの名前を出しただけで
なんでそこまで態度を変える?
意味不明 だけど面白い
「私よりずっと酷い事
されてたんでしょ?その、体調とか」
「エリナは俺たちが付いてるから。
君が心配しなくても大丈夫だよ」
その笑顔で毒を吐く感じ
ものすごく腹立たしい
カンに触る人を言ってくれる人だ
でもそれを悟らせない
敵意は、隠してナンボ
「そうだよね!
幸村くん達、強いもんね」
ね?とまるで念を押すように
語尾を強くして微笑む
幸村くんの手が少しピクリと
反応したのは見逃さなかった