第7章 二頭追うだけじゃ物足りない
「西崎と仲が良いのに
アンタは私に手を出してこない」
「…だって、そんな事
したくないから」
「だったら私の味方になって
私を助けてよ」
な ん で そ う な る ん だ よ
頭沸いてんのか
私が金坂さんの味方になって
得るメリットは何なのかな
何もない
ただリスクを背負わされるだけ
酷ければ私が
ターゲットにされるかもしれない
裏切り者、っていう
レッテルを貼られてね
デメリットしか無い
だから、味方にはならない
助けてはやらない
「む、無理だよ…」
「は?なんで?」
「だって、金坂さん
西崎さんに酷い事を
沢山してるんでしょ!?
なんでそんな人の味方なんか…」
顔を逸らしながら
彼女の目も見ずに言う
あんな噂は信じてないけど
利用しない手はない
金坂さんはそれを聞いて
声をあげて笑い出した
素で驚いた私は呆然とする
「アッハハハハ!!!
あんたもあんな嘘信じてんの!?
全部嘘!!
アイツが…西崎が私を
陥れるためのね!!」
「う…そ…?」
「そう!!
アイツは仕事なんてしてない!
ちゃんと私は教えた!
でもアイツが聞かなかっただけ!!
嫌いなのは事実!確かに言った!
でもそれはアイツが先だった!!!
西崎が先に言ったの!!」
やはりただの嘘か
でも本当な部分もチラホラと
見当たるようだ
それに、人に嫌いと言われたから
自分も言っていいなんて道理は無い
ほんとに金坂さん馬鹿だな
救いようがない
救う気?無いよ
西崎さんも無いけどね
救いようどころか価値も無いんじゃない
「っ、でも…でも…」
「今、私の味方しといた方が
絶対アンタの為になるよ」
「金坂さん、それより
仕事しないと…」
「ッ!!
話逸らそうとしてんじゃねぇよ!!」
バキッと痛々しい音がして
頬に刺激が走る
じんわりと痛みが広がり
ジンジンとする
殴られた
いや、叩かれた
「いった…」
「ウジウジしやがって
うっとおしいんだよ!!!」
味方にならないと分かり
自分のストレス発散にしようってか
いい度胸じゃん
金坂さん
アンタが居なかったから
ほら、誰かやってきたよ?
レギュラーでも西崎さんでも大丈夫
私の勝ちだ