第7章 二頭追うだけじゃ物足りない
何故彼女が、私を
そんな目で見てくるのだろうか
理由はよく分かんない
でも金坂さんが確実に
私に何かを求めてるのは分かった
今の状態からするに〝助け〟かな
なんで私に求めるんだ
まぁいいけどね
さてと、直接金坂さんに
話しかけてもらうために
水道でも行くかな
あそこは人気が無いから
多分、今なんて誰もいない
金坂さんの目をジッと見つめてから
分かりやすいように移動する
きっと金坂さんは
来てくれるだろう
何を言ってくれるんだろうな
早く行こう
水道に着いてたけれども
特にすることもないので、
とりあえず手でも洗う
ビチャビチャと冷たい水が
私の手を濡らしてく
あぁ気持ちいい
さっきまで高揚していた気分が
どんどんと冷めていく
それでも、なんだろう
この感情は
ドロドロで不愉快で
生ぬるくて気持ち悪い
綺麗とは言い難い
醜すぎる汚物とも言える感情
これはもう
後戻り出来ない証拠か
そんなつもり無いのに
こんなの抱えてるんだ
楽しんだって罰は当たらない
当たったら…当たったか
それもまた一興
私が手を洗い終わり
ハンカチで拭いている時に
金坂さんはやってきた
身体はボロボロなクセに
歩き方は前のまま
何も変わってないんだ
それもそれで凄いねぇ
「金坂さん?
どうかしたの?」
「…アンタに話がある」
うぇっ上からすぎだろ
身の程わきまえろよ
なーんて言いませんよ
優しく下から出ますとも
「話?」
「如月さんって西崎と
仲が良いよね」
「そう、かなぁ?
でも、西崎さんと話すのは
楽しいよー」
「あんなのと話すのが楽しい?
アンタ馬鹿なんじゃない?」
「きゅ、急に酷いね金坂さん」
いやー私よりよっぽど馬鹿だと
思いますよ、貴女
これだけ嫌われてるのに
今だ喪失されない自信
素晴らしいね
拍手送りたいくらい 送らないけど
「それで、私に何か用かな?」
「如月さん、今私が
どんな目に合ってるか知ってるよね」
「…うん。まぁ」
「助けてよ、私を」
は?って言いそうになった
なるよね?普通
私を何者と思ってらっしゃるの
貴女は