第6章 甘い紅茶にアルコールを一滴
「なんか酷く汚れてて…。
名前書いてあるし、
蒼どうしたのかなって」
「ごめんね、みぃちゃん。
わざわざありがとう!」
飴を受け取って
お礼と共に笑顔を向ける
みぃちゃんは
「全然いいよ」と笑って
教室を出て行った
教室には私だけ
もう皆、部活へ行ったり
帰ったりしてしまった
飴の袋をクシャリと握る
思わず手に力が入るのは
仕方ない事だろう
…それにしても
こんなことをするのは
西崎さんしかいない
なるほど、私に仲間と思わせながら
敵意を剥き出すって事ね
私には飴を落としたりした
記憶がない
だから私は恐れ始める
何者かによって
この飴を落とされたという事実で
…なーんて、馬鹿か
誰がビビるんだよ誰が
敵意なんて最初から感じてる
てかこんな低レベルな嫌がらせで
怖がる奴なんていない
怖がり、はしないけど
私の大事な飴ちゃんを
落とすなんていい度胸してるじゃ
ないか西崎さん
このまま帰るつもりだったが
行ってやろうじゃあないか
テニスコートに
多分今頃金坂さんが
ボロボロになってるとこだろう
気晴らしに足を運ぼう
その様子を見学しながら
これからの事について考えるか
もう甘い期待は消えたよ
優しいままでいてやるもんか
私は私が楽しむために
あぁ、そういえば
金坂さんにも関わらないと
西崎さんだけじゃ駄目
今、悪役にされて
とても悲しい想いをしている
金坂さんと話さないと
きっと彼女みたいな人間は
自分が優位に立っている時は
人を見下したり、偉そうな癖に
一度自分が落とされると
どんな人間にも尻尾を降り出す
媚を売り出す、クズだ
きっと表立って人を傷つけない
私に縋りよってくる可能性は
かなり高いと見る
私を助けて!なんてね
助けるもんか
散々バカにしてくれたもんね
散々見下してくれたもんね
最初は君だよ
金坂さん
さぁ滑稽なその姿
しかとこの目に焼き付けさせて
期待してるよ