第33章 道化師恐怖症。
夕方のことを考えると
どうしてもワクワクしてしまって
もう一度目を瞑ろうとしたけどできなかった
携帯を弄りながら
時間がすぎるのを待つ
けれど、それも飽きてしまって
なんとなく外を見た
さっきまでは晴れていたのに
今ではどんよりと灰色
雨でも降ってきそうだ
「…暇だなぁ」
暇は嫌いだ
時計の針がもっと早く
回ってくれればいいのに
コンコン
…?こんな時間に人?
お父さんは仕事だしお母さんもわざわざ
こんな時間に来ないよな
コンコン
おっと待たせちゃいけないか
「どうぞ」
お医者さんか看護師さんの誰かだろうと
てきとうに返事をした
ドアの向こう側にいる人が
待ちわびた人だなんて、全く
想像していなかった
「来てやったわよ」
「!…久しぶり、西崎さん」
嫌そうなその顔が
心情を物語っている
人を殺しかけといてなお
その自信満々な態度は変わらないのね
それでこそ西崎さん
退屈しないからありがたい
「学校はサボり?悪いなぁ」
「うるっさいわね!!
こんなとこ1秒もいたくないの!!
早く要件言いなさい!!!」
「病院内では静かにするっていう
園児でも分かるマナーが分からないの?」
「なによその態度…!!」
初めから喧嘩腰
分かってたけどねそんなこと
早く話したいけど
それよりも先に問題がある
「ここからは見にくいけど
後ろにいるんでしょ。幸村くんたち」
「…そうだよ。連れてきたからいいだろ?」
「まだダメ。西崎さんと話すから。
いいって言うまで外にいて」
「…わかった」
反論の一つもしたいだろうけど
私が少しも引かないことを知ってる
だから素直になったんだね
うん、いい判断だと思うよ
「西崎さんはそこにどうぞ」
「エリナに指図するな!!!」
「指図って…だったら立ってたら」
「なによ、なんなのよアンタは!!!」
だから大声出すなって…
ほかの患者さんに迷惑だとか
分からないの?
頭が悪い子は嫌だねぇ