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道化師恐怖症。

第33章 道化師恐怖症。




私が呆れた顔をすると
さらに怒りが増したようで
どんどんと西崎さんの顔が醜くなっていく


「そんなに怒らないでよ。
少しは隠すってことできないの?」

「なによ!!なにが言いたいのよ!!」

「賢くない子は可哀想だねって言いたいかな」

「お前に…可哀想だなんて
言われたくない!!!黙れ!!!」


どうやら彼女の情緒は
いつもにまして不安定なようだ

こうなれば早く決着つけないと
また殺されちゃう

この間だってぎりぎりだったんだぞ
分かってんのかコイツ


「西崎さん、私だって一応
反省してるんだよ?
だからちゃんと腹割って話そうよ」

「…はっ!!やっと自分の立場を
わきまえたってわけぇ?
そうよ!アンタみたいなブスが
赤也に相応しいわけないでしょ!?
モブのくせに原作を汚すなんて…最悪」

「色々言ってくれてるけど
反省っていうのは中途半端な態度を
取ってたって事だけだから。
だからちゃんと本当の私を見せてあげる」

「はぁ…!?」


ベッドから離れ、西崎さんに近づく

急に私が起き上がったのが
不気味なのか、2.3歩引いたが狭い病室だ

あっという間に近い距離


「ねぇ」


下から見上げるように
西崎さんの顔をじっと見つめる

あぁやっぱりこの人は美人だな

もう少しちゃんと生きれば
幸せな未来があったかもしれないのに


「な、に」

「どう?残ってる?」

「なにが、よ!」

「その手に、人を殺しかけた感触は
残ってるか?って聞いたの」

「っっ!!!」


何を思ったのか、両手を後ろに隠す

そんなことしたって意味無いし
分かってたけど否定する気はないんだね
やっぱり馬鹿だ


「殺したくて消したくて
なのに、あくまで自分の手を汚さず
ただ押すだけで他人の人生を終わらせようと
した。
その憎くて仕方ない人間の前に
いる気分ってどんな感じなの?

計画が失敗して悔しい?
殺人を犯してなくて嬉しい?

…私が憎くて仕方ない?」


言葉を一つ一つ作る度に
私の口角はどんどんとつり上がっていく

もう無理だ
笑わないなんて絶対に無理


「っ、」


笑いすぎて、視界がぼやける


ピントがあった先で
彼女は苦い顔を浮かべた







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