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道化師恐怖症。

第32章 その毒林檎、一口ちょうだい




次の日、俺はいつもより
ふわふわした気持ちで学校に行った

蒼先輩と会って話せる
それだけがたまらなく嬉しい

あー早く会いてぇな
部活はちゃんとやらなきゃだけど
一生懸命やってれば、大好きなテニス
時間なんてあっという間に過ぎていく


早くあの人の顔が見たい

そんな風に思いながら下駄箱に着いた時
普段ならいない人たちの姿があった


「やぁ、おはよう赤也」

「…おはようございます。
今日は朝練、無い日ッスよね?」

「そうだよ。そんなことはどうでもいいんだ」


部長の後ろに、先輩達
なんでか分からないけど全員いる

意味がわからないと構える俺とは対照に
余裕な笑みを浮かべる部長が
少しだけ、怖い

この人は何を考えてるか分からない


「酷いじゃないか。
同じチームメイトなのに」

「なにが…ですか」

「教えてくれたっていいのに」


そう言って、また更に深まった笑顔で
俺はなんとなく感じた

まさか、この人たち


「入院してるんだろ?如月さん」

「ッッ!!!!」


なんで、どこで、どうやって


俺は誰にも言ってない
それは前城先輩も同じだ

学校にも、話がついていると言ってた
蒼先輩があんな目に遭っていたのは
学校側も承知で
だからこそ、表沙汰にしたくないと
黙っていてくれてた筈なのに


「ふふっ。あんな裏切り者でも
少しは使えるんだね。驚いたよ」

「は…?」

「昨日、西崎が教えてくれたんだ。
如月さんは〇✕病院で
入院してるんだって」


西崎…!?
なんでアイツが入院している病院を
知ってるんだ!?

アイツが、犯人だろうから
入院している事実は分かるだろう

だけどなんで場所まで
わざわざ調べたのか?
いや、そこまでする意味は…

分からない
頭が混乱してぐちゃぐちゃになる


気味悪く笑う部長の後ろから
険しい顔をした副部長が出てきた


「赤也、なぜ言わなかった」

「言う必要が無いと思ったからです」

「俺たちはチームメイトだろう!?」

「あの人はそんな風に思ってねぇ!!」


丁度登校してきた生徒が
何事か、とチラチラこっちを見てくるが
そんなもの気にしていられない


俺が睨むと
柄にもなく悲しげな顔をする副部長が
なんだか苦しかった






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