第32章 その毒林檎、一口ちょうだい
「違うよ、赤也。
如月さんが俺たちに会いたくないんじゃない。
お前が会わせたくないんだろ?」
「…それって変ですか?
アンタ達は蒼先輩に酷い事をした。
そんな人たちと会わせたくないに
決まってるじゃないスか」
「俺たちは彼女に謝罪したいんだ。
そしてまた1からスタートしたい。
彼女が本当はどう思ってるかなんて
赤也には分からないだろ?」
分からないから
今こうなっているんだろ
そう言われた気がして
俺は俯くしかなかった
「…今日、全員で行くから。
放課後ここの下駄箱にいなよ」
「なっ…」
「赤也がいなかろうと俺たちは行くよ」
だろうな、と思った
部長は1回考えたり、思いついたことを
曲げることはほとんどない
だから西崎のことを
信じきっていた
最終的には見放したけど
だから、俺がなんといおうと
蒼先輩に会いに行くに決まってる
…仕方ない
せめて着いていくしかない
直接、蒼先輩に拒否されれば
流石に帰るだろう
部長だけがガンコでも
柳先輩たちだっているし…
不安は拭えないけれど
とりあえず、一度蒼先輩に
メッセージ送っとくか…
楽しみだった放課後は
一気に憂鬱になり
ため息がでた