第31章 目覚めの珈琲はいかがですか
なんて情緒不安定な奴だよ
っていうか俺に何を求めていたんだ
俺が本気でお前の味方になると
思っていたのか
なんなんだ、なんなんだよ
「...もういいだろ。
どっか行けよ」
「いや...許さない。
エリナより愛されるなんて!!
許さない!!!
エリナが一番なの!!!」
テディベアに手をかけられ
思わず目の前が真っ赤に
そこからはスローモーションで
1コマ1コマがゆっくりと
まるで古い映画みたい、
手が、勝手に、
『だめ!!!!!』
「あ...」
あの愛しい人の声が
頭の中で響いた気がした
近くに居るはずないのに
なぜ、どうして
俺の拳は西崎の少し前で
ピタリと止まっていた
「っ...、?」
「...どっか行けよ、もう」
行き場の無くなった手は
そのままテディベアに伸び
自分に引き寄せる
怯えたその姿すら、気持ち悪い
もう1度睨むと
西崎はどこかへ走って行った
すぐ横にいるわけじゃないのに
アナタは俺を助けてくれるんですね
ただの俺の思い込み
かもしれないけど
そういうとこが、ほんとに
好きなんですよ
はやく、病院に行こう
きっとまだ間に合うから