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道化師恐怖症。

第31章 目覚めの珈琲はいかがですか




「可哀想だな」

「っ、あ?」

「可哀想だって、言ったんだよ」


そんなに必死になっても
もう誰もアンタに近寄らない

一人だよ、アンタは

どれだけ足掻こうと
無駄じゃないか


それを可哀想と言わず何という


「可哀想...エリナが...?」

「あぁ。この上なく、な」

「は...はは。
きゃはははははは!!!!
可哀想!?可哀想上等!!
だってお姫様は可哀想なんだもん!!
白雪姫だってシンデレラだって
可哀想な目にあってたじゃない!!」


確かに、そうだ

いじめられ、毒りんごを食べさせられ
お姫様は可哀想な目にあう

けれどそれでも純粋な人だから
王子様に認められるんだろ
だから幸せになるんだろ


「道理外したアンタは
幸せになんてなれーよ。可哀想」

「ふふ、うふふ。うふふふふ。
赤也はエリナが可哀想って
思ってくれるのね。赤也は!!」

「はぁ...?」


あぁ、そうか

裏切られた憎しみに染められた
部長クラスたちはそんな事
思ったりしないのか


「じゃあ赤也がエリナを守って?
赤也が王子様になって?
だってエリナをお姫様って
認めてくれるってことでしょお!!」


すがり寄ってくる、その姿は
本当に吐き気がしそうだった

俺がお前を守る?

お姫様?王子様?


「っざけんな!!!!
同情はなぁ愛じゃねぇんだよ!!!
哀れみなんだよ!!!」

「哀れみでもいいよぉ!
可哀想って思って?守って?」

「守りたくなるから可哀想って
思ってんじゃねぇ!!!」


だって俺は蒼先輩を守りたい

けど、蒼先輩を
可哀想だなんて思ったことない
あの人を、可哀想だなんて言えない
それはきっと失礼だ


「赤也になら可哀想って
思われていいの!!嬉しいの!!」

「...も、思ってるぜ?」

「ん?なぁに?」

「蒼先輩もアンタのこと
可哀想って思ってるって言ったんだよ」

「!!!!」

「きっと、笑いながら」

「やめ...」

「座り込んだアンタを見下ろして」

「やめて、」

「哀れんだ目をしながら」

「っ、いや、やめて」


あぁ、なんて




「可哀想」




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