第31章 目覚めの珈琲はいかがですか
俺は、毎日毎日
蒼先輩の元に通った
部活もちゃんとやらないと
起きた時に怒られてしまいそうだから
部活終わりに、ダッシュで
面会時間は9時まで
そんなに長くはいられない
だけど、少しでも蒼先輩が見れたら
なんとなくホッとする
「赤也くん、今日も病院行く?」
「はい!勿論ッス!」
部活へ行こうと靴を履いていると
後ろから声をかけてきた前城先輩
なんか持ってるけど…なんだろう
「今日私行けなくて...
申し訳ないけどこれ持っていって?」
「全然いいッスよ!なんスかこれ」
見れば分かるよ、と言われ
袋を開けてみる
中身は...クマのぬいぐるみ
いわゆるテディベアというやつだ
「あの子、ぬいぐるみ好きだから」
「そうなんスか!!
意外っちゃ意外...」
「ふふ。目を覚ましたら赤也くんも
あげてみなよ、喜ぶから」
「そうします!!
じゃあこれ届けときますね!」
「よろしくね!部活頑張れ!」
「ありがとーございます!!」
そうか、蒼先輩は
ぬいぐるみが好きなのか
どんな動物が好きなのかな
犬、猫、兎...
どんなのも似合いそうだ
目を覚ます前に買わなければ
一応ゲーセンも見てみよう
考えてたら、ちょっとウキウキしていた
そして、部活に来たはいいが
部活の雰囲気は良いとはいえない
蒼先輩は事故で休み
西崎も無断欠席中
優秀なマネージャーに慣れてしまった
俺たちの練習はなかなか
上手くいっていなかった
そして、俺自身も
自分の非をいまだ認めていない
部長たちを許せずにいた
「お?赤也、なんだそれ」
「うお!ジャッカル先輩、急に
話しかけないで欲しいッス!」
「しゃーねーだろ!
んで、なにそれ」
傍観者的立ち位置だった
ジャッカル先輩と真田副部長
許してるわけじゃないけど
彼らは直接的に傷つけてないし
何も出来なかった俺は同罪
普通に喋る事は多かった
「前城先輩に頼まれた...ぁ」
「ん?前城って、あれか。
如月の友達か」
そういえば蒼先輩の事故は
先輩たちに内緒だ
なぜこうなったのか検討はつくから
それが解決するまで...という
前城先輩の考え
危ない ばらす所だった