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道化師恐怖症。

第30章 わざと掛け違えたボタン




餓鬼臭いとは分かってた

だけど、エリナを守らなければ


俺の、俺たちのお姫様


部活では、如月が居にくいように
常に冷たい視線を浴びせた

挨拶されても無視するし
質問されても気のない返事


俺たちの悪意が伝わるように
紙に書きなぐってぶつけた

他の奴らもやってるみたいだ


だけど、全くと言っていいほど
アイツが堪えてる様子が無い

しかし俺たちだって大事な大会前
あんな奴の為に俺たちの3年間を
無駄にするわけには...

...でも、エリナが


あぁクソ。アイツが辞めてくれれば
それで済むのに

俺が辞めさせる事もできるが
サボっている証拠が無い

実際にサボっていたところを見た
なんて証言も出てないから


...うっとおしい、邪魔な奴



「精市?顔が怖いよぉ?」

「...あぁ、ごめん。
どうにかして如月に制裁を
加えなければと思って」

「大丈夫だよ!
エリナ頑張るもん!それにね」

「ん?」


きっともうすぐ何か起こるから


にっこりと嬉しそうに笑った

やっぱり君には笑顔が似合うね



それから、2日程経った
ある日の部活

いやに丸井の機嫌が良さそうだった

鼻歌を歌いながら
チラチラと如月を見ている


「どうしたの丸井。
楽しそうだね」

「あー...これからひと仕事あんの」

「ふうん。
どんな仕事かな」

「内緒だぜぃ。けど、イイ事。
だからちょっと赤也を
遠くにやっといてくんね?」

「...いいよ。じゃあ丸井は
特別メニューって事でいいね」

「幸村くんさんきゅー」


部活が始まるといつものように
如月はどこかへ行った

それを確認して赤也の方に近づく


てきとうに難癖つけようと思ったけど
少しダラダラしているな

注意しようと口を開けたら
真田の怒声がコートに響いた


ナイス、真田
ラッキーだよ

まぁ彼は純粋な指導のつもり
なんだろうけど


真田が命じた外周を嫌がる赤也に
ダメ押しする

観念したのか、トボトボと
肩を落としながらコートを出た


それと同時に丸井も外に出る


これでアイツがいなくなって
エリナが笑顔になる


そう思うだけで、心が
暖かくなるようだった






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