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道化師恐怖症。

第29章 拝啓、透明な君へ




「 へぇ。そうかもね」

「はは!そこで嫌悪しないとこが
君のいい所さ!!」

「褒めてくれてありがとう。
言いたいことはそれだけ?
そんな訳ない...でしょ?」

「もちろん!」


目の前にいる笑顔な〝私〟は
楽しそうに微笑む

きっと、あぁそうだ
そうに違いない

西崎さんから見た私は
こんなふうだったに違いない


「なんで君が
こんなことになったか分かる?」

「私が?
...事故にあった理由?」

「ザッツライト!」


そんなもの、決まってるじゃないか

考えるまでもないこと


「西崎さんの恨みを買ったから」

「そう答えると思ってたよ!
でも違う。それは必然的なことなの」

「じゃあ私が事故にあったのは
全くの偶然で
そうなるべきじゃなかったと?」

「さっすが蒼。
理解力が早い、早い」


なにが偶然?

あそこで信号待ちをしてたこと?

みぃちゃんと帰ったこと?

...テニス部に入ったこと?


「どれも違うねえ」

「今、私って声に出してたっけ」

「大体、考えることなんて
わかっちゃうんだよ。私には」

「あ、そうか。〝私〟だもんね」

「あははっ!それはどうだか」


なんだこの〝私〟

私はこんな性格してたっけ
もっと色々隠すのが上手だと
思ってたけど、見当違い?


「そう!それそれ!」

「は?」

「君は隠すのが上手すぎた。
君はギリギリまで西崎さんに
好かれようと、味方でいようと
していた」

「それがダメなことだったわけか」


そういうと、〝私〟は
至極嬉しそうに更に近づいてきた

顔がつきそうな近さ


「戦争ってさ
自分こそ正しいと思うから
起こるわけじゃん?」

「へ?ま、そうでしょうね」

「そういうことなんだよ!」

「...?」


ますます意味が分からない
別に私は自分のやり方、生き方が
正しいと思ってるわけじゃ


「味方じゃなければ敵。
敵じゃなければ味方。
前者の考えが強すぎてしまった」

「そして、自分が正しいと
思う力も強すぎた」

「それがお互いだったから
こんなふうになっちゃったってわけ」

「待って、ちょっと整理したい」

「だーめ。それは目覚めてから」

「え...?」


〝私〟は口の前で指で✕を作ると
今度はいたずらっ子のように笑った


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