第28章 処刑台でティーパーティー
「蒼ー!今日は部活?」
「んーん!お休みー」
「じゃあ一緒に帰りましょ!
あ...赤也くんと帰る?」
「なんか英語の追試があるんだって」
「相変わらず苦手なのね」
次の日から
西崎さんは学校に来なくなった
何日も経ったけど
全く来る気配がない
レギュラーの皆は喜んでいるけど
今まで以上に私の仕事は増え
段々と限界を感じてる
もうそろそろ辞め時だ
私だって自分の進路があるし
彼らの為に尽くそうだなんて
少しも思わない
...レギュラーじゃない人達と
赤也くんの為ならいいけど
まぁ西崎さんが仕事しないのに
部活が成立してたんだから
平気だよね 頑張ってください
「今は平和ね...」
「ははっ!そうだね」
彼らと周りの人が纏う空気も
少しずつ戻ってきている
多少のぎこちなさや
テニス部ファンクラブの消極性は
ずっと残り続けるだろうけど
元々、西崎さんの事件
彼女さえいなければ
皆、無かったことにできるんだ
大人だって同じなんだし
「今年はどうなるかな...」
「テニス部?
何回戦までいけるだろう」
「そんなに甘い世界じゃないわ。
きっと勝てない」
「練習してなかったしね。
赤也くんと真田くん、桑原くんは
報われるといいな」
「そうね」
頑張っていた彼らには
何か施しがあればと思う
真田くんと桑原くんはただ
傍観してただけだから
褒められるようなことして無いけど
「大変だったわね。
蒼はもう部活、やめる?」
「やめるよ。
大会なんて見たくない」
見るとしたら、赤也くんだけでいい
彼らが必死に汗水垂らしながら
ボールを追っていても
感じる事など一つもない
「そうね、それが1番だわ」
「でしょ?
あ、じゃあ私こっちだから!」
「うん。またね蒼」
「みーちゃんバイバイ!」
小さくなるみーちゃんの背中に
長い間、手を振る
あ、そうだ
今日は久しぶりに
飴ちゃん買っていこう
それで明日赤也くんと
わけっこでもしようかな