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道化師恐怖症。

第27章 どうぞ、こちらへいらっしゃい




そうか、そっちがその気なら


彼と同じような笑顔を意識して
無理やり口角をあげる

きっと私が
「大丈夫だよ」とかそんな言葉を
言うと思っていたんだろう


「あはは。幸村くん」

「ん?」

「必要最低限な事以外
話しかけるの止めて欲しいな。

君たちと友好関係築く気なんて
これっぽちも無いから」


この言葉が彼の予想以上に
厳しいものだったと簡単に分かった

さっきの笑顔が強張ってる
身体が固まってる

それがあまりにも間抜けで
まー面白こと


「けどさ、」

「同じ部活だからまた仲良くやろう。
同じ彼女の被害者だから
結託しよう、仲良くなろう。
なんて甘い考えしてたのかな?」

「っ!」

「君たちは確かに西崎さんを
恨む理由がある。
けど、君たちも私に恨まれるような
事をしたんだよ」

「...だけどそれは」

「また責任は西崎さん?
自分の罪も認めず償えないような人が
強豪テニス部の部長だなんて
笑っちゃうね」


じゃあ私、忙しいから


そう言って彼の横を通る

少し前まであった
幸村くんの絶対的圧倒感

彼に逆らってはいけないんだと
思わせるような空気を纏っていた

けれど、もう今は

ただの〝人〟



さて、彼に構っていたら
無駄な時間を過ごしてしまった

あと洗濯機回して...
1回ボトルの様子も見てこなきゃ

それから...


「如月!!!!!!」

「...そんな大声出さなくても
聞こえるよ、西崎さん」


全く、どこから走ってきたの

ハァハァと荒れる息
血走った目
乱れきった髪の毛

怖すぎるんだけど。山姥か


「あんたのせいで!!!!
エリナは!!!!」

「私のせい?自業自得の間違いだ」

「あんたのせいよ!!!!!
皆、皆冷たいんだから!!!!
あんなに好きって言ってたのに!
愛してるって!!
エリナはお姫様だって!!
なのに!!なのに!!!!」


え、なにあの人たち
君はお姫様だ!とか言ってたの
めっちゃ面白いんですけど


「全部自分のせいだよ。
だって西崎さんたちの
くだらない恋愛ゴッコに
私は関係なかったよね?
なのに貴女が無理やり巻き込んだ」

「エリナは全員に愛されたいの!!」


人の話聞かないねぇ全く





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